想う
“思う”と “想う”は全く違う。
判断するという合理的イメージの“思う”よりも、思慕に耽り情緒を感じる“想う”の方が、より曖昧で人間らしい言葉だな、と僕は感じる。
この子は目を閉じて一体何を、誰を想ってるんだろうか?
2004 (c) HidehiroUeoka
作品詳細:
この作品はケント紙、ペン、アクリル、珈琲、紅茶、メディウム、デジタルペイントを使用した”ミクストメディア”です。
サイズ:
30×42cm
奏 -キタローネ-
キタローネは、17世紀ルネサンス期から宮廷音楽などで使用された西洋の古楽器の一つ。語源は“キタラ”からきているらしい。実際に生演奏で聞いたことがない分、その音の深さにある種想像が勝手に働く。
なによりも、その小柄な人ぐらいある長さ、細い首、丸みのあるプロポーションに美しさを感じ、魅せられてしまった。
2005 (c) HidehiroUeoka
作品詳細:
この作品はケント紙、ペン、アクリル、珈琲、紅茶、メディウム、デジタルペイントを使用した”ミクストメディア”です。
バイオリン
バイオリンの高くて済んだ耳に残る音色と、奏者の軽やかなリズムとステップが一体となって、一つの音が出て、軽快な旋律になって、心を癒してくれる。そんな音楽が嫌いだなんて人は、おそらく居まい。
実際にバイオリンを演奏できる技術はあいにく持ち合わせていないが、せめて絵でも、と、
バイオリンの音色を表現したかった。
2004 (c) HidehiroUeoka
作品詳細:
この作品はケント紙、ペン、アクリル、珈琲、紅茶、メディウム、デジタルペイントを使用した”ミクストメディア”です。
サイズ:
30×42cm
コンセプト
アーティストとは、どんな形や規模であれ、内なる自己の意識を見つめると共に外へ表現しようとすることに生きがいを持ち、行動する人の事だと思います。僕自身も、そんな1人。それは誰もが持っている感情なのかもしれません。
これまでに、そのための様々な手法を模索してきました。絵画・イラストレーション表現など平面に主として取り組んでいますが、アニメーションも制作し、モチーフとしてフィギュア(人物)、風景、キャラクターなど様々です。ただ、どんな形態の作品であれ、一貫してそこにあるのは『幸福を感じ、求め、共有したいという意識』のような気がします。キャラクター表現による作品でより際立つ「楽しさ」「笑い」「笑顔」もそこに含まれます。それはなぜかを以下に書くことにします。
今、自分が制作活動を続けているのには、直接のきっかけがもちろんあります。
少し話は変わりますが、ここ最近、情報メディアのデジタル化が急速に普及し、世界規模で数分前の出来事さえも瞬時にニュースで知ることが出来るようになりました。情報が多くなった分だけ、これまで知らなかった人間の負の部分にも目を向ける機会が多くなりました。身勝手で許しがたい犯罪とその犠牲による人の死、理不尽や不満、宗教紛争、戦争。最近そういうニュースが絶えません。ダビンチも言っているように"戦争"は人間の最大の愚かさであり、“個人間"の争いが拡大して“国家間"になればそうなります。それを知って大抵思う事、「人間って何なんだ?」
人間である自分自身も、また誰にでも負の部分はもちろんあり得ることであり、それを否定しているわけではないですが、しかし人は、人や動物を愛したり、思いやったり、助け合ったり、感動したり、手を取り合うことができる。自分自身、実際に阪神淡路大震災により瓦礫の中で生き埋めになった経験があります。大勢の方が同時に亡くなりました。そんな中、見ず知らずの人、隣近所の人、家族が一生懸命助けてくれた。それでもあと数時間救出が遅れていたら、自分は五体満足ではなかったし死んでいたかもしれない。当時はパニック状態で気持ちに整理がつきませんでしたが、今になって思えば、形には見えないけれど色んな人の自分に対する暖かい想いが自分を救ってくれたと確信しています。 そんな経験もあり、自分が作品を創作するにあたって、せっかく絵を描いて表現する手段を持っているのだから、そういう“人の暖かい感情"にもっと目を向けてみたいと、今ではますます思うようになってきています。それは10年前の一枚の絵との出会いで感動したポイントにも繋がるし、その意思には間違いは無いと思える。だから、変に毒さを出すような作為を持たず、ありのまま、感動するまま、自然体でテーマを貫きたいと願っています。
このような色んな出来事や想いが現在進行形で絡み合って、今の自分の作品制作のスタイルとテーマを築いているのでしょう。ただ、まだ今は、終わりの無い旅の途中にいる感じです。作品を創り続けることは、自分をもっと知る為の、自分にとっての唯一の方法なのかも知れません。自分探しの旅でもあるのです。
奏 ‐フルート‐ 2005 (c) HidehiroUeoka
ティー 2001 (c) HidehiroUeoka